産業廃棄物の自社運搬とは?許可やマニフェスト、表示についてわかりやすく解説
お役立ちコラム
2023/06/01
産業廃棄物の運搬は、都道府県知事等から許可を受けた業者にて行う場合と、排出事業者自らが運搬する場合の2つに分けられます。
産業廃棄物の中には有害なものや危険なものもあるため、ただ運べばいいというわけではなく、自然環境と人々の生活環境を守るため、安全に運ぶ必要があります。
今回は、自社運搬をする際に気を付けなければならないポイントについて分かりやすく解説していきます。
産廃の自社運搬とは?

自社運搬とは、排出事業者が自ら産業廃棄物を運搬し、直接委託先の処分業者に持ち込むことです。
また、自社の工場から発生した産業廃棄物を別の工場へ運搬するといった拠点間の移動も自社運搬に該当します。
産業廃棄物の自社運搬時に遵守すべき「5つの基準」

産業廃棄物を自社で運搬する場合、周囲の生活環境に悪影響を及ぼさないように注意しなければなりません。
具体的にどのようなことに気を付ければよいのか5つの基準で解説します。
基準1:飛散・流出の防止
産業廃棄物を運搬するうえで飛散、流出しないように対策しなければなりません。
荷台の上部が空いているようなトラックの場合は必ずシートをかけて、走行中に廃棄物が飛ばないように固定しましょう。
また、液体を運ぶ場合は漏れないようにドラム缶やポリ容器に入れるようにしましょう。
基準2:悪臭、振動、騒音の防止
産業廃棄物自体の対策も必要ですが、運搬作業に伴い発生する悪臭、振動、騒音の対策も必要です。
運搬車両から発生する排気ガスや走行速度、エンジン音など生活環境の保全上支障をきたすことのないように必要な措置を講じましょう。
基準3:運搬のための施設は生活環境の保全を確保
収集または運搬のための施設には、生活環境の保全を脅かすことがないように必要な措置を講じましょう。
基準4:廃棄物の飛散、流出、悪臭を防止できる運搬車両を選定
運搬車両や運搬容器、運搬用のパイプラインは、廃棄物の飛散や流出、悪臭の漏れが無いように対策する必要があります。
運搬中に荷台で廃棄物の保管容器が破損し、中身が道路に流出するといった事例も多くあり、様々なリスクを想定した運搬対策が必要です。
基準5:産業廃棄物の運搬中である看板を車両に設置
産業廃棄物を運搬する車両本体に「産業廃棄物の収集運搬車両」である旨を表示する必要があります。
自社運搬をする上で忘れられやすいポイントとなるので注意してください。
産廃の自社運搬時に必要な「表示」とは?

自社運搬時に必要な表示は大きく2つあります。
1つ目は、基準5で解説した収集運搬車両への表示です。
「産業廃棄物収集運搬車」と「氏名または名称」の2つを表示する必要があります。
表示する際には、鮮明かつ、識別しやすい色の文字で車両の両側面に見やすく表示しなければなりません。
▼収集運搬車両への表示 見本
※画像参照:https://www.env.go.jp/content/900537075.pdf
「産業廃棄物収集運搬車」の文字は140ポイント以上(約5cm)
「氏名または名称」は90ポイント以上(約3cm)にしなければなりません。
この表示は収集運搬車両本体に直接印字する必要はなく、マグネットシートなどで対応することも可能です。
マグネットシートの場合、走行中に風などで剥がれないように注意しましょう。
2つ目の表示は、産業廃棄物を運搬するうえでの必要事項の表示です。
下記の内容を記載した書面を携帯しなければなりません。
・氏名または名称及び住所
・運搬する産業廃棄物の種類、数量
・運搬する産業廃棄物を積載した日
・積載した事業場の名称、所在地、連絡先
・運搬先の事業場の名称、所在地、連絡先
様式については、必要事項が記載されていれば問われることはありません。
一般的にはマニフェストの運用でこの表示義務を満たしているケースが多いです。
産廃の自社運搬時に「マニフェスト」は必要?

自社工場から別の自社工場に運搬する場合は不要です。
ただし、処分を他社に委託し、処分場まで自社運搬する場合はマニフェストが必要となります。
マニフェストは、排出事業者が、産業廃棄物が適正に処理されているかを把握するためのものであるため、処分を他社に委託する場合は必要となります。
産廃の自社運搬には「許可」が必要?

自社運搬の場合は、「産業廃棄物収集運搬業」の許可は不要です。
許可証がなくても罰則の対象になることはありませんが、収集運搬に関する基準や表示義務を怠った場合、管轄行政から指導や改善命令を受けることになります。
違反を繰り返す場合には罰則の対象になることもあるので、しっかりとポイントを押さえて運用していきましょう。
法令や基準を守っててきせつに産廃の自社運搬を行いましょう!

自社運搬は、実際に運ぶまでの準備事項が多く手間がかかるように思われがちですが、押さえるポイントをしっかりと把握していれば、他社に運搬を委託するよりもシンプルで手間もかかりません。
また、運搬委託料もかからないのでコストを抑えることも可能です。
自社で発生する産業廃棄物の種類や数量を確認し、自社運搬も検討してみてはいかがでしょうか。
「てきせつ」では、廃棄物の「なぜ?」を分かりやすく発信し、産業廃棄物に関する疑問や困りごとを解決するサポートを行っています。
サポートが必要な方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
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