産業廃棄物処理業者とISOの関係とは?
お役立ちコラム
2024/03/30
1.ISOとは
ISOとは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略称で、世界中の国々が参加して、さまざまな分野の国際標準を作成しています。
これらの規格は、製品やサービスが一定の品質を保つための基準となり、国や地域を超えて共通のルールとして機能します。
ISO認証は多種多様で、その対象となる分野や目的により様々な種類が存在します。
主なものとしては、品質管理のためのISO9001、環境管理のためのISO14001、情報セキュリティ管理のためのISO27001、食品安全管理のためのISO22000などがあります。
その他にもエネルギーマネジメントのISO50001や医療機器の品質管理のISO13485など、特定の分野に特化した認証も存在します。
それぞれの認証は、企業がその分野での管理体制を整備し、継続的に改善していくことを目指しています。
2.産廃処理業者と関係の深いISOは?
ずばりISO14001とISO27001でしょう。
ISO14001は環境に関するISOです。
産廃処理業者は仕事が環境問題の解決に寄与しているので、取引先からISO14001取得を推奨されることが多いです。
また、最近ではISO27001の認証取得件数も増えてきています。
ISO27001は情報セキュリティに関するISOです。
機密情報を扱う産廃業者は、大切な情報が外部に漏れてしまい会社の信用を失うといった事態にならないよう、セキュリティ体制を整えておきたいですね。
日本国内において、ISO14001取得組織数はおよそ13,000件、ISO27001取得組織数は約8,000件と言われています。
3.ISO14001とは?
ISO14001とは、国際標準化機構(ISO)が定めた環境マネジメントシステムの国際規格のひとつです。
企業や組織が環境に配慮した活動を行うためのフレームワークを提供しています。
具体的には、組織が自身の環境目標を設定し、それを達成するための方針や計画を立て、実行・チェック・改善のサイクルを回すことを求めています。
これにより、組織は環境負荷の低減や法規制の遵守、環境パフォーマンスの改善を図ることができます。
ISO14001の認証を取得することで、組織の環境への取り組みが国際的な基準に適合していることが証明され、社会的信頼性を高めることができます。
また、環境に配慮した経営を行うことで、リスク管理やコスト削減、企業イメージの向上などのメリットも得られます。
4.産廃業者がISO14001を認証取得する理由
① ビジネスチャンス獲得
ISO14001の認証を取得することで、環境に配慮した企業との取引や、新たなサービスの提供など新しいビジネスチャンスを得られるでしょう。
また、優良産廃処理業者認定制度でISO14001の取得が評価されることがあります。
つまり、ISO14001を取得している業者は、環境に配慮した適正な廃棄物処理を行っていると認定されやすいと言えます。
② 信頼性の向上
ISO14001の認証を取得することで、外部からの信頼性が向上します。
これは、顧客や取引先、地域社会からの評価向上につながります。
③ 環境への配慮
ISO14001は、組織が環境に配慮した活動を行うための国際規格です。
産業廃棄物処理業者は、その業務性質上、環境への影響が大きいため、ISO14001を取得することで環境管理体制を整備し、環境負荷の低減を図ることができます。
④ 法規制への対応
ISO14001は、環境に関する法規制への対応を求める規格でもあります。
産業廃棄物処理業者は、厳しい法規制に対応するために、ISO14001の認証取得を行うことがあります。
5.ISO27001とは?
ISO27001は情報セキュリティに関する国際規格で、情報資産の保護を目的としており、組織が情報セキュリティリスクを適切に管理するためのフレームワークを提供します。
ISO27001の認証を取得することで、組織は情報セキュリティ管理の体制が国際的な基準に適合していることを証明できます。
6.産廃業者がISO27001を認証取得する理由
① 情報セキュリティの強化
産業廃棄物処理業者は、取引先企業からの機密情報や個人情報など、多くの重要な情報を扱っています。
しかし、情報が漏洩するような業者は産業廃棄物処理の依頼はされません。
ISO27001取得で情報管理の体制を強化し、情報漏洩のリスクを低減することができます。
② 信頼性の向上
ISO27001の認証取得は、外部から見ても情報セキュリティ管理が適切に行われていることの証明となり、取引先やお客様からの信頼を得ることができます。
7.ISOの運用でやらなければならないこと
ISO14001の運用では、以下を行う必要があります。
・環境方針および環境目標の策定
・環境マネジメントシステムの構築
・環境影響の評価
・法規制の遵守
・教育
・内部監査とマネジメントレビュー
・環境パフォーマンスの公表
ISO27001の運用では以下を行う必要があります。
・情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の構築
・リスクアセスメント
・リスク対策
・内部監査とマネジメントレビュー
・教育
・インシデント対応
加えて、1年に1度審査を受けて認証を更新し続けなくてはならず、人手とお金が必要になってきます。
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