ケミカルリサイクルとは?マテリアルリサイクルとの違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説
お役立ちコラム
2024/07/01
近年、プラスチック廃棄物の増加が深刻な問題となっており、その解決策として注目されているのが「ケミカルリサイクル」です。
従来の「マテリアルリサイクル」とは異なり、ケミカルリサイクルは廃プラスチックを化学的に分解し、再び原料として利用可能にする技術です。
これにより、従来のリサイクル方法では処理が難しかったプラスチックも再生資源として利用することが可能になります。
そこで今回の記事では、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルの違いや、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
ケミカルリサイクルとは

ケミカルリサイクルとは、使用済みプラスチック製品などの廃棄物を化学的なプロセスを用いて再生するリサイクル方法の一つです。
従来の物理的なリサイクル(マテリアルリサイクル)とは異なり、ケミカルリサイクルでは廃棄物を化学的に分解し、元の原料や化学物質に戻します。
これにより、再生された材料は品質が高くなり、新たな製品の製造に再利用されることが可能になります。
ケミカルリサイクルの普及率
一般社団法人プラスチック循環利用協会の資料「プラスチックリサイクルの基礎知識2023」によると、2021年の日本国内で発生した廃プラスチックの総量は約824万トンでした。
このうち、サーマルリサイクルで再利用されたのは約511万トン(約62%)、マテリアルリサイクルは約177万トン(約21%)でした。
一方、ケミカルリサイクルはまだ約29万トン(約4%)にとどまっています。
また、残りの約108万トン(約13%)は単純焼却や埋立で処理されている未利用資源です。
サーマルリサイクル・マテリアルリサイクルとの違い

ケミカルリサイクルの技術が確立される前は、サーマルリサイクルとマテリアルリサイクルの2つのリサイクルが主流でした。
ここではそれぞれの違いをみていきましょう。
サーマルリサイクルとの違い
サーマルリサイクルは、廃棄物を燃焼させ、その際に発生する熱エネルギーを回収・利用する方法です。
主に廃棄物の減量化とエネルギーの回収が目的ですが、燃焼による二酸化炭素の排出が懸念されます。
対して、ケミカルリサイクルは化学的なプロセスを用いて廃棄物を再生可能な原料に変換するため、廃棄物の減量化と同時に再資源化を目指す技術です。
マテリアルリサイクルとの違い
マテリアルリサイクルは、廃棄物を物理的に処理し、新たな製品の原料として再利用する方法です。
例としては、ペットボトルを細かく砕いて再びペットボトルや他のプラスチック製品の材料として使用することが挙げられます。
ケミカルリサイクルは、廃棄物を分子レベルまで分解し、化学原料として再利用するため、汚染されたプラスチックや複合材料もリサイクル可能です。
ケミカルリサイクルのメリット2選

ケミカルリサイクルには大きく2つのメリットがあります。
メリット1:プラスチックリサイクルの可能性が広がる
ケミカルリサイクルは、物理的な汚染があってもリサイクルが可能なため、幅広い種類のプラスチックを再利用できます。
これにより、従来のリサイクル方法では処理が難しかった「汚れた廃プラスチック」もリサイクル対象となります。
メリット2:リサイクルの精度が高く原材料の好循環に効果的
化学的に分解されるため、純度の高い原料を製造できます。
これにより、高品質なプラスチック製品の製造が可能となり、原材料の循環が効果的に進みます。
ケミカルリサイクルのデメリット3選

プラスチックをリサイクルをする上で、革新的な技術であるケミカルリサイクルですが、当然、デメリットもあります。
デメリット1:実施できる設備が少ない
ケミカルリサイクルを行うための設備は高度で専門的なものが必要であり、国内で実施できる施設がまだ限られています。
プラスチックのリサイクルを考える上では、処理前物の運搬距離も考える必要があるため、処理場が少ないケミカルリサイクルが普及するには、まだ時間がかかる見込みです。
デメリット2:コストが高い
ケミカルリサイクルの設備を新たに導入するには、膨大な初期コストがかかります。
新しい設備を導入する際には、近隣住民の理解も必要となるため、新規導入のハードルは比較的高いと言えます。
デメリット3:エネルギー消費量が高い
化学反応を利用するため、プロセス全体で大量のエネルギーを必要とします。
これが環境負荷の増加につながる可能性があり、エネルギー効率の向上が求められます。
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ケミカルリサイクルは、プラスチック問題の解決策の一つとして注目されていますが、導入には高いコストとエネルギー消費という課題があります。
それでも、幅広いプラスチックのリサイクルを可能にし、高品質な原材料を製造できるため、将来的な発展が期待されています。
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