漁業系廃棄物とは?漁船や漁網など品目ごとの正しい処理方法を解説
お役立ちコラム
2024/09/01
産業廃棄物は二次産業である製造業から排出される割合が多いですが、一次産業である漁業活動からも様々な廃棄物が排出されています。
海中のマイクロプラスチック量の増加が問題視されている現代では、海や川への廃棄物の流出は早急に解決すべき課題の1つです。
そこで今回は、漁業関連の廃棄物である「漁業系廃棄物」の概要や問題点、正しい処理方法までをわかりやすく解説します。
漁業系廃棄物とは?

漁業系廃棄物とは、漁業者が漁業活動やそれに関連する行為の過程で生じる廃棄物を指します。
具体的には、一度使用された、または未使用のまま収集・廃棄された漁業用資材で、現在使用されていないものを指します。
漁業活動に関連する廃棄物が海に流出して、海岸に漂着することも多々ありますが、漂着ごみについては漁業活動に由来するのものであっても、漁業系廃棄物には含まれません。
※情報参照元:漁業系廃棄物処理ガイドライン(環境省)
https://www.env.go.jp/content/900535373.pdf
漁業系廃棄物の現状

漁業系廃棄物は大きく「漁業」と「養殖業」由来の2種類に発生源が分かれます。
漁業においては漁網やロープが排出される割合が多く、養殖業においては養殖いけす用網やロープ、発泡スチロール製フロートなどが比較的多く発生します。
1983年から2017年の35年間で漁船の数は1984年にピークを迎え、その後は一貫して減少しています。
これに伴い排出される廃棄物量も減少しています。
漁業系廃棄物に関する3つの問題点

ここでは漁業系廃棄物に関する3つの問題点について解説します。
業界ならではの課題が多く残っており、改善が急務となっています。
問題点1:漁網やロープなど絡みやすいものが多く分別が困難
廃棄物を適正に処理しつつ、リサイクル率を高めるためには、排出時に「分別」を徹底することが求められます。
分別排出を徹底することで、素材ごとに適切なリサイクル処理を施しやすくなり、素材として再利用しやすくなります。
しかし、漁業では漁網やロープが多く使われており、それらが絡まってしまい、分別が困難になっているケースが増えています。
漁業で使う漁網やロープは頑丈に作られているので、解体することも簡単ではなく、分別排出の大きなハードルになっています。
問題点2:保管場所に不法投棄されることが多い
漁業で使う漁業用資材は屋外で保管されていることも多く、漁業用資材の保管場所への不法投棄も問題となっています。
漁業用資材の中には、使う時期が限られているものもあり、使わない時期には人通りが少なくなる資材置き場もあります。
人通りが少なく、資材が混載されている場所は、不法投棄のターゲットとなりやすいので注意が必要です。
問題点3:一部の漁師による自己処理による生活環境への影響
漁師の中には、廃棄物を不法に焼却等で自己処理している場合もあります。
自己処理を行うことで、煙や悪臭による被害が近隣住民に及びます。
廃棄物を自己処理しても完全には処理しきれないことが多く、残渣が不法投棄されることも多々あります。
一部の悪質な漁師による不法行為が業界全体の悪評につながるため、阻止しなければいけません。
産業廃棄物に分類される漁業系廃棄物
漁業に限らず事業から発生する廃棄物は「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」の大きく2つに分類されます。
漁業系廃棄物の中で「産業廃棄物」に分類される廃棄物は以下の通りです。
・FRP船
・漁網
・発泡スチロール
・魚箱
・包装資材
・フロート
・浮子類
・廃シート類
・化繊ロープ類
・ブイ
・廃潤滑油
・燃料、塗料等の使用残渣
・鋼船
・漁船艤装材
・アンカー
・養殖いけす用金網
・廃缶類
・廃ワイヤー類
・廃ガラスフロート
・たこ壷、、、など
※情報参照元:漁業系廃棄物処理ガイドライン(環境省)
https://www.env.go.jp/content/900535373.pdf
一般廃棄物に分類される漁業系廃棄物
漁業系廃棄物の中で「事業系一般廃棄物」に分類される廃棄物は以下の通りです。
・木船
・艤装材
・竹竿
・木製魚箱
・包装材
・ダンボール
・天然繊維ロープ類
・ウエス類
・貝類
・付着物残さ
・へい死魚、、、など
※情報参照元:漁業系廃棄物処理ガイドライン(環境省)
https://www.env.go.jp/content/900535373.pdf
漁業系廃棄物の品目ごとの正しい処理方法6選

ここからは漁業系廃棄物の中でも、特に排出量が多い6種類についての正しい処理方法を解説します。
品目1:漁船
漁業系廃棄物の中でも、特に処理に困るのが漁船です。
サイズが大きい上に、エンジンやその他の金属部品など様々なパーツが付随しています。
漁船を廃棄する際には、まずは中古での販売を検討しましょう。
漁船をそのまま中古販売できない場合は、エンジンやパーツだけバラして売却できる場合もあります。
また、FRP素材の漁船であれば産業廃棄物に、木製の漁船であれば事業系一般廃棄物に分類される自治体が多いです。
それぞれ処理業者に処理を委託する際には、漁船の素材に合わせて適切な業者を選定しましょう。
品目2:漁網
漁網は絡まりやすく、他の廃棄物を付着しやすいため、分別が困難な廃棄物の1つです。
漁網単体の場合は、廃プラスチック類としてマテリアルリサイクルできることもありますが、付着物が多く絡まって除去できない場合は、焼却処分しかできない場合も多いです。
魚網についても破損箇所を修理すれば、再利用できる可能性もあるため、不要になった魚網も劣化を抑えるためにシートを被せたり、絡まらないように保管することをおすすめします。
品目3:貝殻
貝殻は事業系一般廃棄物に分類されます。
貝殻を加工することで炭酸カルシウム原料に再利用できるため、ある程度の量を集めることで再利用できる可能性が高まります。
品目4:へい死魚
事業系一般廃棄物に分類される「へい死魚」は、中間処理により「魚かす肥料」として再利用できます。
しかし、腐敗してしまっては再利用できなくなる場合も多いため、へい死魚が発生したらすぐに処理を進めましょう。
品目5:発泡スチロール
発泡スチロールは産業廃棄物に分類されます。
発泡スチロールは劣化が早く、マイクロプラスチックを飛散させてしまう危険性が高いため、慎重に取り扱う必要があります。
発報スチロールはプラスチック原料へのマテリアルリサイクルがしやすいため、不要になった際には、洗浄してシール等を剥がして保管しておきましょう。
品目6:廃油
漁業系廃棄物における廃油は産業廃棄物に分類されます。
廃油の処理業者の多くは、廃油と残渣を分別後、廃油を焼却炉の助燃剤としてリサイクルしています。
不要な廃油がある場合には、水や他の液体と混ざらないように保管しましょう。
産業廃棄物でお困りの方は「てきせつ」へ

漁業活動の中からは、漁船、漁網、ロープなど、さまざまな廃棄物が発生し、それぞれ事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分類されます。
漁船や漁網などリユース価値の高いものも多いため、適正処理をする前にリユースとしての売却も検討しましょう。
産業廃棄物の適正処理を推進するポータルサイト「てきせつ」では、漁業系廃棄物以外にも様々な産業廃棄物に関するお役立ち情報を配信しています。
他の記事も合わせてご覧ください。産業廃棄物にお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
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