産業廃棄物と有価物の違いとは?契約書やマニフェストは必要?
お役立ちコラム
2023/06/01
有価物とは、文字通り「価値が有る物」のことを指します。
今の運用で捨てている物の中にも有価物が紛れていることがあり、正しく理解することで廃棄コストの削減や、環境負荷の低減に繋げられる可能性があります。
今回は、産業廃棄物と有価物の違いについて分かりやすく解説していきます。
産業廃棄物とは?
産業廃棄物とは、事業活動に伴って発生した廃棄物で特定の20種類のことを指します。
廃棄物処理法では廃棄物について、「汚染又は不要物であって、固形状又は液体状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く)と定義されています。
有価物とは?
有価物とは、その物自体に価値があり、取引において金銭的利益が生じるものを指します。
所有者が不要となったものでも、有償で他人に譲ることができるのであれば有価物ということになります。
例えば、工事現場で発生した鉄くずは不要物として廃棄されますが、新たな鉄の原料としての価値があるため、有価物として売買されるケースが多いです。
産業廃棄物と有価物の違いとは?
不要となったものでも、「他人に有償で譲ることができるかどうか」が産業廃棄物と有価物を区別する大きな判断基準となります。
そのため、同じ種類の不要物であっても、状態やタイミングにより産業廃棄物になったり有価物になったりするのです。
総合判断説の「5つの基準」
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について(昭和52年公布)」では、総合判断説と呼ばれる考え方が提唱されました。
有価物であるかどうかというのは、取引価値の有無や占有者の意思等を総合的にみて判断するべきだとされており、5つの基準により判断されます。
基準1:物の性状
JIS規格等の一般的に認められる客観的な基準を満たし、飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境の保全上支障が生じないものである。
基準2:排出の状況
排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされている。
基準3:通常の取扱い形態
製品としての市場が形成されており、通常は廃棄物として処理されている事例が認められない。
基準4:取引価値の有無
占有者と取引相手との間で有償で譲渡されており、客観的に見て経済的合理性がある。
基準5:占有者の意思
占有者自身が適切に利用しているか、他人に有償で譲渡する合理的な意思がある。
有価物に関するよくある質問「5選」
同じ種類の不要物であっても有価物になったり、産業廃棄物になったりするため、取り扱いについて疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。
ここでは有価物に関してよくある質問を紹介します。
質問1:有価物の処理や回収、運搬には許可が必要?
有価物は産業廃棄物ではないため、産業廃棄物処理法に該当しません。
そのため収集運搬業の許可は不要です。
質問2:有価物でも契約書が必要?
有価物は産業廃棄物ではないため、産業廃棄物処理法に該当しません。
そのため産業廃棄物処理委託契約書は不要です。
質問3:金属くずなどの有価物の運搬時にもマニフェストは必要?
有価物は産業廃棄物ではないため、産業廃棄物処理法に該当しません。
そのためマニフェストは不要です。
質問4:有価物を引き渡すにあたって、引取費用を請求されたけど大丈夫?
問題ありません。
ただし、有価物とは他人に有償で譲渡できるものを指すため、引取費用が有価物の売却金額を上回る場合は「他人に有償で譲渡できない」となり、産業廃棄物として扱う必要があります。
例えば、有価物として1万円で売却できたとしても引取費用で3万円を支払わなければならない場合は産業廃棄物として処理しなければなりません。
産業廃棄物として処理するということは、廃棄物処理業の許可を所有している処理業者への委託が必要となり、委託契約書の締結やマニフェストの運用も必要となるため注意が必要です。
質問5:有価物は無償譲渡してもいいの?
0円は有償には該当しないため、産業廃棄物として扱う必要があります。
ただし、製品として納品されたものに対して古くなった同等品を渡すような下取り行為に関してはこの限りではありません。
※どこまでが下取り行為なのか等、詳しくは各管轄行政にお問合せください。
産業廃棄物と有価物の違いを理解しててきせつに処理しましょう!
排出事業者としてはできるだけ廃棄物を少なくし、自然環境や生活環境を守る義務があります。
有価物として取り扱うということは、本来廃棄物となるものに対して新たな価値を見つけてあげる行為です。
また、自社から出る廃棄物量の削減と廃棄費用の削減に加え、有価物の売却益を得ることができます。
正しい知識と考え方を理解して適切に処理していきましょう。
「てきせつ」では、廃棄物の「なぜ?」を分かりやすく発信し、産業廃棄物に関する疑問や困りごとを解決するサポートを行っています。
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