産業廃棄物の保管基準とは?安全に管理するための「8つの措置」もわかりやすく解説
お役立ちコラム
2024/05/01
産業廃棄物の適正処理を推進するための法律である「廃棄物処理法(廃掃法)」は、産業廃棄物の収集運搬や処分など適正処理を進める各工程での基準を細かく設定しています。
廃棄物処理法(廃掃法)の中でも特に細かく規則が定められているポイントの1つに「産業廃棄物の保管基準」があります。
産業廃棄物の保管基準を遵守していないと、法令違反や行政処分の対象となるため、十分に注意して保管基準に正しく対応する必要があります。
そこで今回の記事では、産業廃棄物の保管基準について「8つの措置」に分けてわかりやすく解説します。
産業廃棄物の「保管基準」とは?

産業廃棄物の保管基準は、廃棄物の安全な保管と管理を確保するための基準や規定です。
これらの基準は、廃棄物が周囲の環境や人々の健康に与える影響を最小限に抑えることを目的としており、産業廃棄物の保管基準は、廃棄物処理法(廃掃法)で厳しく定められています。
産業廃棄物の安全管理のために必要な「8つの措置」

産業廃棄物の安全な保管管理を確保するためには、産業廃棄物の種類や形状に合わせて、最適な保管方法を実施することが重要です。
今回は公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センターの「産廃知識 保管基準」で紹介されている「8つの措置」に沿って詳しく解説します。
これらの措置を適切に実施することで、廃棄物の漏洩や環境への影響を最小限に抑えることにつながります。
※情報参照元:産廃知識 保管基準(公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター)
https://www.jwnet.or.jp/waste/knowledge/hokankijun/index.html
措置1:周囲に囲いを設置
産業廃棄物の保管場所の周囲には、囲いを設置することが重要です。
囲いは、廃棄物が外部に漏洩するのを防ぎ、不正侵入や盗難を防止する役割があります。
産業廃棄物の荷重が囲いに直接かかる場合は、その荷重に対して構造耐久上安全でなければいけません。
措置2:掲示板の設置
保管場所には、周囲から見やすい場所に掲示板を設置して、法令で定められた情報を掲示しなければいけません。
具体的には以下のような情報を掲載します。
掲示板の法定記載事項
・産業廃棄物の保管の場所である旨の表示
・保管する産業廃棄物の種類
・保管場所の管理者の氏名または名称および連絡先
・屋外で容器を用いないで保管する場合は、最大積み上げ高さ
掲示板の大きさは「縦60㎝以上×横60㎝以上」と定められています。
また、掲示板は周囲から見えやすいように掲示する必要があるため、文字の大きさにも注意が必要です。
細かいサイズまでは指定されていませんが、少し離れた場所から見ても視認できる大きさにしましょう。
措置3:保管場所からの廃棄物飛散・流出等防止措置
廃棄物の保管場所からの飛散や流出を防止するための措置も重要です。
風の影響を受けやすい場所では、カバーやシートを使用して廃棄物を覆うことで、飛散や流出を防止します。
措置4:汚水対策
保管する産業廃棄物から汚水が発生する可能性がある場合は、排水溝の設置、不浸透性材料による 床面設置等の汚染水対策を行う必要があります。
措置5:保管場所における害虫等発生防止
廃棄物の保管場所での害虫や有害生物の発生を防止するための対策も重要です。
害虫や有害生物が廃棄物に寄生することで、病原菌や有害物質が拡散し、周囲の環境や健康に影響を与える可能性があります。
そのため、定期的に清掃を実施したり、専門業者に害虫駆除を依頼したりなどの対策を実施する必要があります。
措置6:野外保管の場合の措置
産業廃棄物の飛散や流出を防止するためには、容器や倉庫などに入れて保管する方が安全ですが、野外で産業廃棄物を保管することも認められています。
しかし、産業廃棄物を野外で保管場所する場合には、積み上げられる高さについて細かい規定が定められています。
◼︎廃棄物が囲いに接しない場合
囲いの下端から勾配50%以下
◼︎廃棄物が囲いに接する場合
囲いの内側2mは囲いの高さより50㎝の線以下とし、2m以上の内側は勾配50%以下
※勾配50%とは、底辺:高さ=2:1の傾きで約26.5度
措置7:石綿含有産業廃棄物への措置
産業廃棄物の中でも特に飛散性の高い「石綿(アスベスト)」を含む産業廃棄物を保管する場合は、さらに厳しい措置を講じる必要があります。
具体的には以下のような措置が求められます。
・石綿含有産業廃棄物と他の物が混合しないように仕切りを設ける
・石綿含有産業廃棄物の飛散の防止のために、覆いを設けたり、梱包したりなどの措置を講ずる

措置8:水銀使用製品産業廃棄物への措置
石綿含有産業廃棄物と同様に、水銀使用製品産業廃棄物を保管する際にも、他の物が混合しないように仕切りを設ける必要があります。
多くの企業でよく排出される水銀使用製品産業廃棄物に「蛍光灯」や「乾電池」がありますが、蛍光灯は段ボールに入れたり、乾電池は絶縁してペール缶入れたりして、他と混合しないように対策を行いましょう。

特別管理産業廃棄物の保管基準

続いては、産業廃棄物の中でもより有毒性、危険性が高い「特別管理産業廃棄物」を保管する際の保管基準を解説します。
今までの項目で解説した8つの措置に加えて、さらに厳しい保管基準が定められています。
特別管理産業廃棄物の保管基準は以下の通りです。
・仕切りを設けて特別管理産業廃棄物が他のものと混合しないようにする
・特別管理産業廃棄物である廃油、PCB汚染物またはPCB処理物は容器に入れて密封する
・特別管理産業廃棄物である廃酸または廃アルカリは、容器に入れて密封する
・PCB汚染物またはPCB処理物は腐食を防止する措置を行う
・PCB汚染物であって環境大臣が定めるものは形状を変更しない
・特別管理産業廃棄物の廃石綿は梱包を行い飛散を防止する
・廃水銀は容器に入れて密封し飛散、流出又は揮発を防止する
・腐敗するおそれのある特別管理産業廃棄物は容器に入れて密封する

収集運搬の積み替え保管における保管基準

産業廃棄物の収集運搬業者の中には積み替え保管を行うこともあります。
排出事業者から産業廃棄物を引き取り、中間処理場に運搬するまでの間に、一時的に保管することを「積み替え保管」と言います。
この積み替え保管に関しても保管基準が定められています。
今までの項目で解説した「産業廃棄物の保管基準」「特別管理産業廃棄物の保管基準」に加えて、以下の保管基準の遵守が求められます。
・積替えを行った後の運搬先が定められていること
・搬入された産業廃棄物の量が積替え場所で適切に保管できる量を超えないこと
・搬入された産業廃棄物の性状に変化しないうちに搬出すること
ただし、積み替え保管における保管上限は「1日当たりの平均搬出量×7」に限られているので注意しましょう。

中間処理における保管基準

中間処理場では、搬入された産業廃棄物を一時保管して、その中から順番に中間処理を実施しています。
ただし、中間処理場においての保管期限は、適正な処分または再生を行うためにやむを得ないと認められる期間を超えて保管してはいけません。
中間処理場における一時保管であっても、先ほど解説した「産業廃棄物の保管基準」「特別管理産業廃棄物の保管基準」を遵守する必要があります。
また、中間処理場での処理前物の保管数量の上限は「1日の処理能力×14」に限られています。

産業廃棄物を安全に管理するなら「てきせつ」へお任せ

産業廃棄物は有害物質を含んでいたり、人が触ると怪我をする恐れがあるものがあったりと、危険なものが多いです。
今回解説した保管基準を正しく実施することで、周囲にいる人の安全を確保し、作業を効率的に進められるようになります。
ただし、今回解説した保管基準について、文章だけではイメージできないという方もいるでしょう。
そのような方は、産業廃棄物の適正処理を推進するポータルサイト「てきせつ」までお気軽にお問い合わせください。
皆さまの保管場所の状況を教えていただき、最適な保管方法をご提案させていただきます。
産業廃棄物のお困りの方は、てきせつまでお気軽にご連絡ください。
https://tekisetsu.co.jp/contact/
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