産業廃棄物の「仮置き場」と「資材置き場」にも看板が必要?不法投棄を疑われないための対策も解説
お役立ちコラム
2024/03/01
産業廃棄物の適正処理を進めるための法律「廃棄物処理法(廃掃法)」で最も重い刑罰は「不法投棄」ですが、意図的に不法投棄を働く会社はそう多くないでしょう。
しかし、意図せず不法投棄をしてしまうこともあるとご存知でしょうか?もし知らなかったとしても、万が一不法投棄を疑われると、社会的信用を失うリスクがあるため大変危険です。
そこで今回の記事では、産業廃棄物処理施設の中で「仮置き場」と「資材置き場」に置いている物を不法投棄と疑われないための対策について解説します。
産業廃棄物の保管基準とは?
排出事業者が自社の敷地内で産業廃棄物を保管する際には、以下の保管基準を遵守しなければいけません。
・周囲に囲いが設ける
・見やすい場所に掲示板を設置する
・廃棄物の飛散、流出、地下浸透、悪臭発散の防止措置
・公共の水域及び地下水の汚染を防止
・屋外で容器を使わずに保管する場合の最大積み上げ高さ制限の遵守
・ねずみ、蚊、ハエなどの害虫の発生防止
・水銀使用製品産業廃棄物に仕切りを設置
・石綿含有産業廃棄物に仕切りの設置と飛散防止措置
※情報引用元:https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1411/00068430/hokankijun.pdf
産業廃棄物の保管場所には「看板(掲示板)」が必要
産業廃棄物の保管基準の中でも「看板(掲示板)」についてのミスや勘違いが多く報告されているので、ここでは深掘りして解説します。
産業廃棄物の保管場所に設置する「看板(掲示板)」には、以下の項目を必ず記載しなければなりません。
・産業廃棄物の保管場所である旨
・保管する産業廃棄物の種類
・保管場所の管理者の氏名または名称および連絡先
・産業廃棄物を保管できる最大の高さ(屋外で容器を用いずに保管する場合)
保管している産業廃棄物についてのトラブルが発生した時のためにも、必ず必要事項を掲載しておきましょう。
産業廃棄物の看板(掲示板)については以下の関連記事で、より詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
産業廃棄物の「仮置き場」や「資材置き場」にも看板は必要?
産業廃棄物を処理業者に引き渡すまで保管する場合は、先ほど解説した保管基準を満たす必要があります。
しかし、排出事業者の敷地内には、産業廃棄物の保管場所とは別に「仮置き場」や「資材置き場」にも産業廃棄物らしきものが置かれているケースが多々ありますが、ここは特に注意しなければなりません。
ここからは「仮置き場」と「資材置き場」にわけて、保管する際の注意点を解説します。
ケース1:仮置き場
廃棄物処理法(廃掃法)の中には、産業廃棄物の「仮置き場」という定義はありません。
しかし、実態としては、産業廃棄物の保管場所がいっぱいだった時、保管場所の整理をするまでの間など、正規の保管場所以外に産業廃棄物を仮置きしていることが多々あります。
この場合も「看板(掲示板)を設置すべきですか?」と疑問に思われる方がいますが、一時的な仮置きならまだしも、何日も何週間も置きっぱなしの場合は、看板(掲示板)を始めとする保管基準を満たす措置が求められます。
仮置きと言いつつ、改善命令を受けたにもかかわらず放置し続けていると、不法投棄と見なされる可能性があるので、できる限り産業廃棄物の仮置きは避けるようにしましょう。
ケース2:資材置き場
資材置き場には、本来はまだ利用価値のあるものが置かれているはずですが、何年も放置されたままのものが資材置き場に置かれている風景を見たことがありませんか?
しかし、保管している企業が「これはまだ利用価値のある資材だ」と言い張れば、それは資材と見なされるのでは?と思う方もいますが、それは間違いです。
産業廃棄物の考え方として「総合判断説」という「5つの判断基準」で客観的に判断されます。
総合判断説の5つの判断基準は以下の通りです。
①:物の形状
JIS規格等の一般的に認められる客観的な基準を満たし、飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境の保全上支障が生じないものである。
②:排出状況
排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされている。
③:通常の取扱い形態
製品としての市場が形成されており、通常は廃棄物として処理されている事例が認められない。
④:取引価値の有無
占有者と取引相手との間で有償で譲渡されており、客観的に見て経済的合理性がある。
⑤:占有者の意思
占有者自身が適切に利用しているか、他人に有償で譲渡する合理的な意思がある。
総合判断説の5つの基準から考えて、資材ではなく産業廃棄物だと判断された場合には、自社の敷地内であっても不法投棄と見なされる可能性があります。
その場合は、速やかに看板(掲示板)を設置して、定められた保管基準を遵守して、適切に産業廃棄物を保管しましょう。
自社の敷地内での「不法投棄」と見なされた事例と対策
実際に自社の敷地内で保管していたものが「不法投棄」と判断された事例もあります。
その産業廃棄物の品目は「廃タイヤ」です。
総合判断説から考えて、明らかに劣化している上に野積みされているタイヤを「まだ利用価値のある資材」と見なすことは困難です。
自社の敷地内で資材を保管する場合には「180日間」が1つの目安とされており、180日を過ぎて保管し続けている場合は、不法投棄と見なされる可能性が高まります。
不法投棄の疑いをかけられないためにも、資材として保管するか、産業廃棄物として処理するかという判断は、180日以内に行いましょう。
産業廃棄物を適正管理なら「てきせつ」へ
産業廃棄物を排出しているどの企業にも、産業廃棄物の管理業務よりも優先すべき業務があり、どうしても産業廃棄物のことは後回しにしてしまう。。。という場合も多々あるでしょう。
しかし、産業廃棄物に関する法律である「廃棄物処理法(廃掃法)」は罰則の規定も多く、不正が発覚した際には社会的信用を失いかねません。
もし産業廃棄物のことで不明点や疑問点を抱えている方は、産業廃棄物の適正処理を推進するポータルサイトの「てきせつ」にご相談ください。面倒に感じる産業廃棄物の管理業務を多方面からサポートさせていただきます。
産業廃棄物のことでお困りの方は、お気軽に「てきせつ」までご連絡ください。
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