産業廃棄物の「ゴムくず」とは?原材料により分類が異なるので分別には要注意
お役立ちコラム
2024/03/01
産業廃棄物は分類ごとに処理方法が異なるため、排出時には正しく分類を把握しておく必要があります。しかし、産業廃棄物の中には形状からは分類が判断しにくい場合もあり、その代表が「ゴムくず」です。
ゴム製品の中には、輪ゴムのように「天然ゴム」でできている製品や、自動車のタイヤのように「合成ゴム」でできている製品もあり、産業廃棄物としての分類に悩んでしまう方が多いのではないでしょうか?
そこで今回の記事では、産業廃棄物のゴムくずについての正しい分類方法や処理方法についてわかりやすく解説します。
産業廃棄物の「ゴムくず」とは?
産業廃棄物の適正処理を進めるための法律である廃棄物処理法(廃掃法)におけるゴムくずの定義は、事業活動に伴って排出された「天然ゴムの原料で構成された廃棄物」を指します。
つまり、一般的にゴム製品としてよく目にする自動車のタイヤは合成ゴムで構成されているので、産業廃棄物のゴムくずには分類されないということです。
天然ゴムと合成ゴムの違い
天然ゴムは「ゴムの木」から出る白い樹液を凝固し、洗浄や乾燥の工程を経て作られます。一方で合成ゴムは石油由来の成分、つまり「プラスチック」を原料としています。
天然ゴムと合成ゴムにはそれぞれにメリット・デメリットがあり、用途ごとに使い分けられています。
ゴムくずのリサイクル状況
環境省が発表する令和元年度の「産業廃棄物の排出・処理状況等」によると、ゴムくずの年間排出量は約17,000トンで、産業廃棄物全体の中での割合は0.0%と発表されています。
また、リサイクル状況に関しては、再生利用が63%、減量化が19%、最終処分が18%で、再生利用率は高くありません。
「ゴムくず」に分類される産業廃棄物の事例
産業廃棄物の「ゴミくず」に分類される産業廃棄物としては、以下のような種類が挙げられます。
・天然ゴムの切断くず
・天然ゴムの裁断くず
・ゴム引布くず
・エナボルトくず
ゴム製品なのに「ゴムくず」に分類されない産業廃棄物の事例
ゴム製品の中でも合成ゴムが素材となっている以下のような種類は、産業廃棄物の中では「廃プラスチック類」に分類されます。
・自動車や自転車のタイヤ
・タイヤチューブ
・長靴
ゴムくずの主な処理方法3選
産業廃棄物のゴムくずは、主に3種類の処理方法が実施されています。
処理方法1:破砕
ゴムくずの処理方法として最も一般的な方法は「破砕」です。
ゴムくずを破砕して、ゴムチップやその他の製品の原料としてリサイクルされます。
処理方法2:焼却
次にゴムくずの処理方法として多いのは「焼却」です。
ゴムくずを焼却処分して、焼却灰を路盤材やセメント原料としてリサイクルされます。
処理方法3:埋立
ゴムくずをリサイクルしない場合は、破砕や焼却で減量化した後に埋立処分されています。
合成ゴムの処理方法
合成ゴムを素材とした産業廃棄物の代表例である「廃タイヤ」は、主にサーマルリサイクルの原料とされています。
廃タイヤ以外の合成ゴムも同じ処理方法を取ることが一般的です。
集められた廃タイヤは破砕され減量化された後は、焼却処分場に運ばれて熱回収の原料として使われます。
火力発電を行う際の原料として石油や石炭などの天然資源を使うよりも、産業廃棄物で作られた固形燃料を使うほうが環境負荷が低いと言われています。
マテリアルリサイクルをして再資源化することが理想ですが、日本ではサーマルリサイクルによる熱回収もリサイクルの一種として認められています。
その他の廃プラスチック類の処理方法については、以下の関連記事をご覧ください。
ゴムくずの処理を委託する際の注意点
ゴムくずの処理を委託する際には、合成ゴムや他の廃棄物との分別を徹底する必要があります。
ゴムくずは基本的には単一素材で構成されていることが多く、他の廃棄物と混合して排出されると、処理業者での分別の手間が発生し、その分処理費用が高くなる可能性があります。
ゴムくずのリサイクル率を高めるためには、ゴムくずだけを分別排出するようにしましょう。
ゴムくずの適正処理に困ったら「てきせつ」へ
産業廃棄物の中でも分類が難しい「ゴムくず」ですが、今回解説した方法を実践すれば、天然ゴムと合成ゴムの分別も実施できるのではないでしょうか?
ゴムくず以外にも、分類が難しかったり、処理業者の選定が難しい産業廃棄物は多くあります。
産業廃棄物の適正処理を推進するポータルサイト「てきせつ」では、ゴムくず以外にも、処理に困る産業廃棄物の正しい捨て方についての記事を多数掲載しています。
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